直木賞受賞作品です。三十前にして取っちゃうなんてすごいですね。
読んでいると文章がとても上手いです。凝った形容詞を使えば、こんな書き方ができるとは思いません。本当に上手くないと書けません。この本を読んだ後、ある新人作家の本も読んだのですが、文章の巧さが全然違う! さすがです。
マンガに造詣の深い三浦さんだそうですが、この作品もマンガチックな話でした。便利屋を営む二人組の男たちが、トンでもない依頼や依頼人に遭遇する話です。こういう二人組のドタバタコメディ、マンガでもありそうです。実によく出来たコメディ(!?)でした。
ただ、難を言うとリアリティがないです。いや、リアリティなんかない、虚構的ファンタジックな要素のある作品だからいいんだよ、と言われそうですが、彼女は良くも悪くもマンガ家なんですよ。
例えば、前回の書評に出てきた垣根涼介なんかは社会人経験があるから、会社の雰囲気とか仕事というものがよくわかって本を書いています。たとえ、首切り人をテーマにしたエンタメを書いていても、彼自身の経験とかが作品ににじみ出ています。一方、大学出てすぐ作家になった三浦さんには、人生経験に裏打ちされたリアリティが薄いと思います。たとえ取材をしていたとしても。
文章も構成も上手い、けどさほど私好みの作風ではありませんした。でも面白いことは面白かったですよ。好みの問題ですけどね。
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